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副業のアパート経営が本業に 元ジャーナリストが大胆転身

 賃貸アパートやマンションを経営する大家さんは、資産家のお年寄りというイメージがある。老後のためにアパートを建てる人も少なくない。元ジャーナリストの雨宮憲之さん(52)は、そうした資産家とは違う次元で事業を展開している。

 東急東横線の武蔵小杉駅まで迎えに来てくれた。「この周辺もビルがいっぱい建っちゃいましたね」と言いながら近くの喫茶店へ。明瞭な発声、聞き取りやすい話し方。それもそのはず雨宮さんは地方局の元アナウンサーだった。

 「アナウンサーを4年ぐらいやった後、やっぱりジャーナリズムは活字だろう」と毎日新聞の記者に転職。高松支局から大阪本社へ転勤して間もなく、米国留学のために辞めた。これも4年ちょっとの記者生活。「映像関係の仕事をやりたかったんです。ワシントンDCの学校で2年半学びました」

 大手新聞記者の地位を捨てて映像作家になろうというのだから、かなり勇気のある転身だ。「周囲の猛反対を振り切って」米国へ行ったが、英語力の問題で壁にぶち当たり、挫折。

 帰国後、生活のため霞が関ビルに事務所がある中小企業に就職。当時会社が支払っていた高額な賃貸料に驚き、黙っていても毎月家賃収入がある「家主はいいな」と思ったのが、不動産投資に興味を持つきっかけとなった。

 「電車の窓の外に、マンションやアパートがたくさん見える。これだけあるんだから一つぐらいは私が持っていてもいいだろう」と、神奈川県座間市のアパートを1棟まるごと2000万円で購入したのがスタート。もちろん不動産業はズブの素人。週末起業的な副業だったが2009年、専業大家になり、12年に「オーナー・インテリジェンス」を設立した。5度目の転身だ。

 「不安定な収入を補うために始めたんですが、すごく楽しい。賃貸業、大家業は自分で物件にいろいろアイデアを反映させて、事業として大きくできるのがすごく魅力的です」

 雨宮さんはマスコミに籍を置いていたぐらいだから、こちらの取材に対して非常に協力的だった。賃貸業の現状を熱心に語り、起業にいたるプライベートなことまで包み隠さずしゃべってくれた。単なる不労所得を当て込む資産家ではなく、インテリジェンスがあるのだろう。

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