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副業OK、むしろ「専業禁止」?の企業とは〈AERA〉
一つの会社で、一つの職業を続ける時代は終わった。長く働くには、複数の武器が必要だ。複眼的視点が価値や儲けを生み出すのだ。
会社内の仕事だけをやらないように──社員にそんな「専業禁止」のススメをしている会社がある。ウェブサービスやメディア運営を手がける、エンファクトリーだ。社長の加藤健太さん(48)は、こう話す。
「先行き不透明な今、どこでも生きていける力をつけることが一番大切な能力だと思います」
同社で副業は必須ではないが、社長自らが公然と推進。多くの会社では副業は禁止されているか、認められる場合も、報告規定を定めているうえ、「本業に支障をきたさないように」と念押しするケースが多い。だが、この会社では、与えられた本業をこなしさえすれば、個人の裁量で「副業メインでもOK」。内容、時間ともに制限がない。会社内で勤務時間内に副業をすることも許されている。
約20人の社員のなかで副業をしているのは半数ほど。パグ犬専門のウェブ洋品店、地域のコーワークスペース管理、社内交流ランチの企画提案など、ビジネスとしてすでに自立している副業もあり、なかにはIT企業を経営している社員までいる。
ウェブサイトのディレクターを務める高荷智也さん(32)は、2年前に防災士の資格を取った。
防災アドバイザーとして企業のコンサルティングをし、テレビのコメンテーターも務めている。月1回程度、セミナーの講師を務め、自身のホームページでも防災の情報を配信。さらに防災用品のセレクトショップも運営している。
副業で防災の「専門家」として活動する自身の経験が、そのまま本業にも役立つ。本業は「専門家プロファイル」というウェブサイトの企画、ディレクション。どうすれば収入を増やしていけるか、情報発信の仕方、ブログなどの記事の書き方を、専門家に実感を持ってアドバイスできるという。
こういう「本業+副業」の社員が集まる効果について、加藤さんはこう話す。
「飯を食うための“ライスワーク”と、やりがいを探求する“ライフワーク”は両方持っていていい。自分が選択した副業をビジネスとして成り立たせ、価値や儲けを生み出すことがどれだけ大変かを経験し、双方のビジネスを俯瞰できると視野が広がります」
※AERA 2014年12月8日号より抜粋